LPガスの基礎
はじめに
エルピーガスは、全国の一般家庭用途の約半数に当る2,200万世帯で幅広くご利用いただいており、国内消費エネルギーの約4%を占めています。家庭用以外にも、 ライター、自動車用、化学原料用、都市ガスや電力の原料など、様々な分野で利用されています。
- エルピーガスとは何か?
●エルピーガス(LPガス)は、正式名称を「Liquefied petroleum gas」→「リキファイド・ペトロリウム・ガス」と言い、頭文字をとって「LPガス」と言います。
●これを日本語に直訳すると「液体化した石油の気体」となり業界では「液化石油ガス」と呼ばれています。
●原油を精製(灯油や重油やガソリンに分解)する工程で「LPガス」も分解されて作られます。
●家庭で使用する「LPガス」は主成分が「プロパン」であるため、別名「プロパンガス」とも呼ばれます。
- エルピーガスの特徴(1)
●容易に液体化が可能です
作られた「LPガス」は元々常温では気体ですが、運搬のため圧力をかけて、液体にしてガスボンベに充填します。●通常「LPガス」はガスボンベに充填され使用されます。
●気体である「LPガス」は圧力を加えるか?冷却(-42℃)すると液体になります。
●したがって極寒の地(-42℃以下)では、利用できません。
●液体化するのは、体積を縮めることにより保存や運搬をしやすくするためです(通常は加圧します)
- エルピーガスの充てんの様子
【家庭用50㎏ボンベ】
中身に50㎏(約25㎥)のLPガスが入っているボンベで、ボンベ自体の重さを合計すると満タンで約90㎏以上になります - エルピーガスの特徴(2)
●実は元々無臭です
保安の観点より、空気中の混合比率が1/1,000以上でガス漏れを感知できるように着臭しています。●人体に害はありません
「LPガス」には人体に害のある一酸化炭素(CO)が含まれません。 したがって臭いを嗅いでも人体に害はありません。●空気より重い気体です
空気の約1.5倍の重さであり、万一ガス漏れが発生した場合、下の方に滞留するため、ガス警報器は床下近くに設置します。 - 都市ガスと何が違う?
種類 供給方式 ガス種 ガス比重 料金・保安など 都市ガス 導管供給 天然ガス(メタンガス) 空気より軽い 供給約款による認可制料金が適用 簡易ガス プロパンガス 空気より重い LPガス 戸別ボンベ 事業者とお客さまの個別契約 ■発熱量・・・プロパンガスは天然ガスの約2.2倍 ⇒ 細い配管でOK
■CO2発生量・・・プロパンガスは天然ガスより13%増 - エルピーガスの優れた長所(1)
●環境にやさしいエネルギーです
LPガスの燃焼時のCO2排出係数(電気・ガス・灯油のエネルギー使用量から排出されるCO2を求めるための単位値)は、灯油より15%も少なく、環境重視の天然ガスとも大差ありません。種別 CO2排出係数 単位 LPガス1㎥に換算した
CO2排出量LPガスを1とした
比較値LPガス 5.89kg kg-CO2/㎥ 5.89kg 1 電力 0.517kg kg-CO2/kWh 14.42kg 2.45 天然ガス 2.36kg kg-CO2/㎥ 5.14kg 0.87 灯油 2.49kg kg-CO2/㍑ 6.75kg 1.15 - エルピーガスの優れた長所(2)
●災害に強いエネルギーです
災害発生時においては、LPガスは、各お客さま毎に供給可能な「分散型エネルギー」であり迅速に復旧させることが可能です。また、二次災害(火災)については、阪神・淡路大震災での神戸市のデータを見ると、地震発生から10日間中に発生した175件の火災のうち、原因が特定できた68件の内訳は電気が38件で56%を占め、次いで放火など21件(31%)、石油5件(7%)、都市ガス4件(6%)で、LPガスは0件。これはLPガスが分散型エネルギーであり、震度5以上の揺れを感知すると自動的にガス供給を遮断するマイコンメータがほぼ全戸に設置されていたためです。
- 「東日本大震災」被災三県における
各インフラの供給不能戸数の推移(推計含む)※上記のようにダントツ「LPガス」が早いことが分かります。
- 地震が発生したら?
●まずテーブル等の下に隠れて身の安全を確保しましょう
●ガスを使用していた場合、揺れがおさまったら直ぐに使用を中止し元栓を締めて下さい
●他の火の元・・・ストーブ等も同様の措置をします
●大規模な地震の場合は、メーターガス栓又は容器バルブを閉止します